20

9月

2010

国の借金=国民の借金?

 とにかく日本の財政は大変な状態になっているらしい。それもそのはずで、今年度も歳出の半分以下の税収しかなく、借金をして歳出を賄っている。国債関連費(利払いと償却)は歳出の中でも負担が大きく、今後社会保障費関連の負担はまだまだ増加するし、さらに政府はバラまきが大好きである。集票のためには、バラまきが一番とばかりに、自分のことばかり考える政治家が多くて、我々国民も幸せである。

 

 ところで、日本の借金に関する報道では、「国の借金は900兆円を超え、国民1人あたりの借金は700万円にのぼる」といったものが多い。「国の借金=国民の借金」ではないはずだし、700万円も支払うことの出来る人は1割にも満たないであろう。本当に我々はそんな借金を負担しなければならないのか?今回はこのメガトレンドを考えてみる。

 

 ここで国の借金を国債(地方債を含む)と言い換える。では、国債を買っているのは誰か?日本は諸外国と比べて対外債務(外国への借金)が少なく、国債は国内で消化されている。その国債を買っているのは、金融機関である。直近の財務情報を見ると、三井住友銀行は17兆円、三菱東京UFJ銀行は40兆円、農協は15兆円を保有している。さらに驚愕するのは、ゆうちょ銀行の161兆円、かんぽ生命の73兆円の巨額さである。ゆうちょ銀行は176兆円の預金(国民がゆうちょに預けているお金)のうち、9割以上を国債に振り向け、かんぽ生命は101兆円の総資産の72%を国債に投資している。ゆうちょ銀行、かんぽ生命は、国民の預金・投資に対して「はなっから」十分な収益を上げる気はなく、もっと言えば国による横領に近いのではないか?こんなところに預金をしてはいけない。

 

 話を戻そう。そこで疑問に持つのは、短期の国債の利子は0.1~0.2%、10年もので1%程度の利子しか生まない資産になぜ投資できるのか?である。考えてみると、金融機関は、国民、企業の預金を使用して、企業へ貸し付けたり、有価証券や国債に投資をする。金融機関から見れば、預金は仕入れである。その預金の利子は0.03%、ほとんどただである。仕入れがただ同然であれば、低リターンの国債でも金融機関は利益が出てしまう。例えば、三菱東京UFJは40兆円の国債への投資により、単純計算で「0.2%-0.03%=0.17%」、680億の利ざやが出る。なぜ仕入れが「ただ」かというと、国が金利を下げているからである。ということは、国は金融機関の仕入れコストを下げてあげ、そのかわり国債を買ってもらうという話になる。であれば、国民から標準的な利子相当分を毎年まきあげているに等しいのでは?

 

 もう一つ、金融機関にとって国債投資の都合がよいのは、国債がノーリスク資産であり、自己資本比率の計算上、国債は分母に算入されないため、リスクのある中小企業への貸し出しよりもメリットが大きいことがあげられる。どの程度の効果があるのかは把握していないが、いたずらに中小企業に融資して、焦げ付くよりは、国債投資は楽な商売である。

 

 そして国債が暴落すれば、大量に国債を保有している金融機関はどうなるのか?である。特に怪しいのが、ゆうちょ銀行、かんぽ生命である。ゆうちょ銀行の自己資本比率は4%であり、総資産の8割以上を国債に投資しており、かんぽ生命は自己資本比率が1%であり、資産の7割以上を国債に投資していることから、どちらもあっという間に債務超過である。国が資本増強するにも、国は国債の暴落のため、高金利を負担しなければ、資金調達できず、資本注入できない。そのとき国はどんな対応が取れるのか?日本は経済的に大きな国であり、IMFが支援できるのか?アメリカは助けてくれるのか?

 

 いずれにせよ、国債が暴落すれば、日本国は低コストの資金調達ができないわけであるから、歳入を増やす増税、又は歳出を減らす公共サービスの削減を迫られる。いずれにせよ、そのしわ寄せは国民、企業にある。結論から言えば、やっぱり「国の借金≒国民の借金」なのである。国に依存しない人生設計が必要である。

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